2023-11-09 ■ 占いのように信じる何かがまだあった頃私は子どもだった。努力だけではどうにもならなそうなとき事あるごとにそれに願掛けした。やがてそれが通用しないと知ると自然とそれから離れるようになった。そうするといつの間にか大人になっていた。泣いてもどうにもならないことを知った。ただやるしかない。できなくてもやるしかない。そんなふうに繰り返しているうちにお化けは見えなくなった。小さな頃はどんな暗闇にもお化けの姿を見たのに、夜のトイレも行けるようになったのだ。 3 Oct, 2023 (『ピアニシモ』辻仁成 読後の記録、読書メーターより)