これは水です
わたしたちはいろんな気分を持っていて そのときどきでぴったりのを探し続けている 一度見つけてはメモして、でも忘れてしまって また思い出そうと記憶を辿り、また名前をつける なにもかも有限だと知って選別しているうちに とんでもないところまで来てしま…
良いことか悪いことかなんて関係ないのだ だってこの世の中心はそれではないからね 先の例のようにこの世の中心はそんなものではないんだな これは一種の反抗心だ、まったくもってその通りだ あなたたちが純真無垢なこの心を汚そうというのなら あなたたちを…
いつの間にか引き出しの奥に押し込んだそれが また現れて わたしの目を覚ます 全然大事なんかじゃないと捨てたもの ずっとあれで頭がいっぱい まだどれも気持ちよくさせたことがないのに でもやっぱり毎日のことで精一杯です またなのね、タイミングが合わな…
ひとりで詩(うた)を読んでいた ただ時の音が来るまで 皆が言葉を交わした時間を わたしは風に身を委ねた わたしの言葉は部屋を響かせ 胸を揺らした
小さな部屋 ひとり待つしかなかった、わたしひとり、帰ってくるまで、外の音 眺めながら。始まりも終わりもなくて、だから寂しさもなくて、愛なんて知らぬままでよかったのに、光の影 ずっと見てた。わたし 幸せだった、ううん不幸せ、閉じ込められて学ばな…
『せっかく、あったかくなったと思ったのにねえ』 貼り付けたような笑顔で、言葉だけが宙に浮いて溶けた ほんとうは冬のほうが好きで むしろ春は好きでない側のものなのに。 わたしが春と一緒に持っているのは、 めまぐるしい変化の前で立ち往生した思い出た…
あなたは死んだ 部屋で ひとり あなたはあたたかさを分けた さようなら また おはよう 思い出の断片が 弾けて 空気に溶けて あなたのすべては 消えた また おはよう したかったね
顔は見えない 姿だけが小さくなる わたしは寂しかった あなたもそうだっただろう なんで一緒に居られなかったかな そうあるべきだと思うんだ 気にいる部分ばかりじゃない どちらかといえば緊張するさ でも近くにいるべきなんだ わたしは何も責められないの …
いま わたしは半分 現実と幻想とのあいだで どちらに行くことも許されない その蕩けた目は嫌いなものリストの仲間入り 薄っぺらい言葉と 間抜けな姿 憧れたときもあったのに もう知っている なんでもないことを誇張して表現するなんて 幽霊 いるはずもない …
忙しさの中で その鍵をまた見つけられなかった 私には無理だよ あなたはそう言う でも まだ探してる きっと 見つけられる 見つけなきゃいけない まだ繋がってるから 切ったりしない足りないよ これ以上にないくらいに頂戴 でも誰もくれないね 誰も知らない …
刈られた芝生、 なんだか寂しい気持ちになるんだ。 惨めな気持ちになったときのことを思い出すよ、 いつまでも幸せな色は続いてくれないんだね。 君だけじゃないさ、 分かってるんだ。 もっと良いのがあるよ、 知ってるさ。 でも、君がいいんだ。 君がそこに…
音が聞こえる。心臓が動くかぎりあなたは頭を左右に動かす、目線を動かす。心臓が動くかぎりその大きなまんまるい目を私に向ける、高い声で鳴く、寝言を言う。私を怖がって飛んでゆく、そのかわいいあんよでよたよた歩く。羽をふくらませてまんまるいフォル…
考えてみれば根拠のない自信で (否 自信とはもとよりそういうものだが)どこかと慌てて探してみても あなたは動かなかった触ればよそよそと手を避けたのに今日のあなたはそうしなかった首は曲がり羽は動かず 目は皮肉にも今までにないほど穏やかに閉じられて …
夜の電灯のなかの公園 ブランコ 11月の7日 息切れ 走った 地面に膝をついた 自転車の通り道のあの、鮮烈な香り あなたが通った 立ち漕ぎをして緩やかな坂を登る 長い髪 車道の左右を確認して渡る コンビニの明かり 公園のおばさん 犬の散歩 めがね 水色の…
しんみりしたのは嫌で 必死に逃げようとする でも、隠しきれない初めてぶつけたそれは 今は粉々に崩れて届かなかったしばらくかかって1ヶ月と1週間 たぶん、大丈夫言葉じゃなくてメロディー歌い方が嫌いなのに 核心をついてくる彼の曲を聴きながら 内側と向…
あなたは風に舞う羽根